これからウクレレを始めようとする方に
目次
- 第1章 これからウクレレを始めようとされる方に
- (1)ウクレレは音楽の才能がないとウクレレはできない?
- (2)才能が無くても市民ウクレレの意気がある!
- (3)ウクレレの演奏に必要な指づかいは日常生活の指使い
- (4)年をとってからウクレレ始めるのは無理でしょうか?
- (5)楽譜が読めることはウクレレ演奏に必要?
- (6)音楽理論は必要?
- 第2章 ウクレレという楽器の特徴
- (1)ウクレレという楽器は「平等な」楽器です
- (2)ウクレレは完成されていないおおらかな楽器
- (3)ウクレレは場所をとりません
- (4) 大きな音が出ない
- (5)生活の様々な場面で楽しめ、いろいろな所に連れていける
- (6) 手を伸ばせばそこにウクレレが…時間のない忙しい方々にもぴったりな楽器
- (7)コツコツ努力が報われる楽器
- (8)指の長さや大きさなどに左右されません。
- (9)テクニックを追及することにあまり必然がない楽器
- (10)あまり金銭負担はありません
- (11)十人十色のサウンド
- (12)ウクレレは人と人とをつながることができる楽器。
- 第3章ウクレレをもっと楽しむために <上達の秘訣>
- (1) ポジティブシンキング
- (2) できないところをくよくよこだわらない。=完璧を目指さない
- (3) みんなと一緒に練習する
- (4) 弾けない自分を責めない
- (5) 人と比較しない
- (6) ウクレレの練習は「いいとこどり」でいいんです
- (7) どんどん人前で弾きましょう
- (8) 積極的に社会参加しましょう
第1章 これからウクレレを始めようとされる方に
(1)ウクレレは音楽の才能がないとウクレレはできない?
***誰もが100mを10秒台で走れない***
今この文章をお読みの方はたぶん「ウクレレには興味があるけど私には音楽的才能がないから私にはできないよ。」と思っておられる方や、「私のウクレレが上達しないのは音楽的才能がないからだ」と悩んでおられ、半ばあきらめモードに入っておられる方がたくさんいらっしゃるかもしれません。
でもそもそも「音楽的な才能」ってなんでしょうか?
日本の代表的なピアニストの梯さんは小さいころに一度聴いた曲を子供用ポンポンピアノで正確に再現できたといいますし、同じく日本の代表的なギタリストの村治佳織さんは小さい時からのギターの練習の結果、左と右の手の指の長さが違っているということです。こういった方々の素晴らしい音感や時間感覚、音楽の記憶力や感性などなどは私たち音楽を専門に勉強してこなかった人間にはとてもかなわないモノがあります。(あって当然ですね。)
陸上競技でも100mを10秒台で走れる人はごくわずかで、一般の人はとてもそんなに早く走ることはできません。ある脳科学者が人生で3000時間をかけて獲得した能力は価値ある能力になるという研究結果を導いたそうですが、誰もが素晴らしい音楽家になるとは限りません。
才能のある人がさらに研さんを重ね、人生で一番多感な時を音楽に捧げ、その中でさらに卓越した「選ばれし者」だけが多くの人の集まるコンサートでの演奏ややCD発売ができるのでしょう。
私達はその音楽を普段何も考えずに消費しているわけです。
私たちが仮に3000時間をかけることができたとしても、このようなすばらしい才能にはとてもかないません。ここはあっさり才能に脱帽です。だからこそ才能のある人の音楽を心からリスペクトして普段聴かなければなりません。
(2)才能が無くても市民ウクレレの意気がある!
「ウクレレの達人」より「ウクレレを楽しむ達人」
私たちは残念なことに今までの人生で別なものに3000時間以上の時間を費やしてきました。勉強、仕事、家事、育児等、いまさら音楽の才能を磨こうとしてもとても取り返しがつきません。
しかし、トップマラソンランナーがいて多くの市民ランナーがいるように私たちは『ウクレレの達人』はさっさと才能のある人に任せて『ウクレレを楽しむ達人』をめざせばいいのではないでしょうか。いわば『市民ウクレレ』ですね。この『ウクレレを楽しむ達人』ならば誰でもなれるような気がしませんか?しかも10人いらっしゃったら10通りの達人がいてもおかしくないと思います。
私は今まで数多くのウクレレ愛好家やサークルメンバーの方々のお話をお伺いいたしましたが、ウクレレを心から楽しむことに関しては本当にすごくて「参りました」という方々がたくさんいらっしゃいます。
ウクレレを木の材料から集めて自分で製作して音色を楽しんでおられる方。車の塗装を本業にされている方が超ピカピカにウクレレを塗装されていて、ウクレレを演奏する時は指紋をつけるのもはばかられるくらいで、手袋をして演奏しなければいけないほど見事な塗装を施しておられる方。ウクレレにまつわるハワイの文化を深く調べておられる方など様々な楽しみ方をされておられる方々がたくさんいらっしゃいます。どの方々も立派な『ウクレレを楽しむ達人』ですね。
私たちがウクレレを楽しむスタイルはその人なりに多種多様、千差万別、自分が人生で費やしてきた多くの時間から得たその人の経験を生かしてその人なりの楽しみ方というのを探していけばいいのではないでしょうか。10人いらっしゃれば10通りの『楽しむ達人』があっていいのです。
…でも、少しはウクレレの練習をしてあげて下さいね。
(3)ウクレレの演奏に必要な指づかいは日常生活の指使い
グー・チョキ・パーができればウクレレは弾ける
ウクレレを始めようとされる方をためらわせるのが、演奏する時の指使いです。
ウクレレの神様と呼ばれているオータサンやジェイク・シマブクロさんの演奏を見ていると確かにすごい指使いですね。とても人間業とは思えません。
でも、そこまではとうてい無理としても私たちが日常生活で使う指づかいでウクレレは弾けてしまうのです!
パソコンのキーボードや包丁・ハサミの指使い、それからお箸を使ったりする指使いができる方であれば楽しくウクレレが弾けてしまうのです。もし弾けないとしたら日常の指使いの範囲からはずれた指使いを要求する曲の編曲がされているということです。
私たちが人類として生き延びてきたのは指先が器用だったからですが、この指を動かす能力は長い人類の進化の歴史の中で私たち一人一人のDNAにしっかりと組みこられているのです。ですからみなさんもご先祖さんの力を信じてぜひともウクレレに取り組んでみてください。もし、ある曲が充分に弾けないとしたら、たぶんご先祖様も弾けないはずですからあなたの責任ではありません。
ちなみに私のサークルでは日常の指の動きの範囲内で曲のアレンジを提供することに徹していますのでウクレレを始めて非常に短期間であっと驚く名曲の数々が弾けるようになります。
でもそれは当たり前のことです。
実は名曲として何世代も多くの人に歌い継がれている曲はシンプルでかつ普遍の音楽的要素でできているからです。
たくさんの英語の単語を知っているからこそ多くのことを英語でメッセージとして伝えることができますが、本当に伝えたいことはシンプルな英語の単語で伝えることができるのと同じように、超技巧、早弾きで人を圧倒することもできますが、簡単な指の動きによる音楽表現もそれはそれで深いものがあるのですよ。
どうぞ指が動かない心配をなさらないでください。自然体でウクレレを始めることをお考えください。
「グー・チョキ・パーができればウクレレ弾ける!」のです。
(4)年をとってからウクレレ始めるのは無理でしょうか?
「音楽的」スキーマがあなたを導く
カナダの認知心理学者のダニエル・J・レヴィチンという人は、その人の音楽の能力を決めるのはその人の「音楽的スキーマ」だと言っています。すなわちその人が小さい時から無意識に聴いていた様々な音楽の記憶力が大切だというのです。
私たちは母親から赤ちゃんの時に童謡を聴かされたり、テレビ・ラジオで様々な音楽を耳にしたり、お店のBGMで無意識のうちに多くの音楽を聴いています。日本の著名な作曲家であり編曲家の久石譲さんも音楽家の能力はその人の音楽の記憶力で決まると言っています。
私の印象で申し上げますと70歳台でウクレレを始めた方が他の年代の方と比べてウクレレの上達が劣るかというとそんなことはなく、むしろ上達は早いような気がします。私も不思議に思うのですが、私なりに考えますのはやはりシニアの方々が人生の様々な局面で多くの音楽を聴いてこられたから、すなわち音楽の記憶力の力というのが大きな要因だと思います。
また、シニアの方ならではの能力の影響も大きいと思うのです。それはシニアの方だけがその人生経験の中から会得された「結晶性知識力」という能力に優れているということではないかと思うのです。
暖かいお湯の入ったビーカーに化学薬品を溶かしておき、ゆっくりと冷やしていくとビーカーの中に垂らしておいた糸に見事な美しい結晶ができるのと同じように「こつこつと物事を習得していく中で美しい成果を出す。」といったことを自然と人生の中で会得されてきたからかもしれません。ウクレレはビーカーの中の糸のようなものです。
みなさんも誰もがウクレレできれいな結晶を創ることができるはずです。
それからもうひとつ。ウクレレを始めようと思っておられる方々にぜひとも申し上げておきたいことがあります。それはその方の「音楽的スキーマ」の潜在的力はすごいということです。
ハワイアンをウクレレで弾きたいという方が実際にウクレレを始めてみると案外ハワイアンの曲を演奏するのに手ごわかったりするのですが、そういう方でも日本のフォークの曲が弾けたり、クラシックの曲が弾けたりします。また、「私は演歌しか知らん!」という方も洋楽オールディーズの曲がサラっと弾けたりします。やはり若い時に無意識に聴いている音楽の記憶があるからだと思うのです。
ですから皆さんもぜひともご自身の「音楽的スキーマ」の可能性を信じてウクレレに取り組んでみて下さい。
あなたのウクレレを導いてくれるのはあなたご自身の「音楽的スキーマ」です。
ですからウクレレを始める年齢に関係はありません。 ウクレレを始める今のあなたの年齢こそが「ウクレレ年齢」適齢期です。
(5)楽譜が読めることはウクレレ演奏に必要?
楽譜が読めないからといって音楽の楽しさを捨てない
楽譜が読めることは確かにその人のウクレレの上達の大きな武器になることは認めなくてはなりません。多くの音楽家が楽譜に込められた作曲者の神髄を読み取ろうとし、また、楽譜によって音楽家同士のコミュニケーションを図るために楽譜は大切なツールです。
ところが、困ったことに一般の人が音楽に興味を持っていてもこの楽譜が読めるかどうかが大きな障壁になっているのです。
これからウクレレを始めようという方も「楽譜が読めないので…」と入門を躊躇しておられる方がたくさんおられるかもしれません。
でも楽譜が読めないということで音楽の楽しさまで捨ててしますのはもったいないと思いませんか?
私のサークルに来られるシニアの方はほとんど楽譜が読めません。したがってウクレレの楽しさを皆さんに伝えるためには楽譜という手段はまったく使えません。私は私自身が楽譜を苦手としていることもあり、サークルのみなさんにいかにして楽譜を使わずに音楽の楽しさを伝えることができるかいうことに相当なエネルギーを費やしています。
ですから私のサークルでは、できるだけ多くの方々にウクレレの楽しさを分かってもらえるためにTAB譜というものを使っています。このTAB譜というのはタブラルチュアという言い方でギターなどの弦楽器で広く使われている音楽の表記方法です。
楽譜の表現方法が完成される以前よりヨーロッパで広く弦楽器で使用されていた表現方法で(一説には14世紀のスペインで広まったとされています)、弾くべき弦と押さえる弦の位置(フレット)が視覚的に示されていますので何弦の何フレットというふうに視覚で押さえるべき場所が理解できますので、シニアの方にも少し慣れれば非常にわかりやすい表現方法です。
でも所詮楽譜もTAB譜も音楽を記号に置き換えた表記方法ですので、私のサークルでは補助的に実際に演奏した音源CDを使って目と耳の両方からわかっていただくように努めています。
私は音楽の楽しさを伝えようとする者はプロであれアマチュアであれ、わかりやすく音楽を伝える工夫が必要だと思うのです。楽譜が読めない人を黙示的に排除するようなことでは音楽の楽しさが拡大しないと思います。ここは、音楽の楽しさを伝えようとする側の工夫が問われるところだと思います。
それからもうひとつ。楽譜の読めないということにあまり劣等感をお持ちになる必要がないという理由といたしまして、最近のコンピューターミュージックの発達にあります。パソコンの画面の縦軸(上下)に音の高い低い(ピッチ)、左右に時間(小節)があって画面にクリックしていくと音が入力されて、それが楽譜やTAB譜になってアウトプットされるだけでなく、パソコンが演奏してくれて遠くの友達にデーターとして音楽を送ることができ、また逆にキーボードで演奏された曲が楽譜になってアウトプットされるというようなことも簡単にできます。こういう時代ですので楽譜だけが音楽を人に伝える道具であった時代は変わろうとしています。
ですからみなさんも楽譜が読めないからといって音楽の楽しさまでをお捨てになるようなことはどうぞなさらないようにお願いいたします。
楽譜が読めなくても音楽はできます。
その証拠に初音ミクは楽譜を見ずに歌って踊っているでしょ。

(6)音楽理論は必要?
理論のための理論は不要。実戦でその都度必要なだけ。
私たちのサークルでは音楽理論に時間を割くことはほとんどいたしません。とりあえずウクレレを楽しむ達人としては最低限の原理原則のようなものがわかっていれば当面演奏に困ることはありませんので実戦的に要点をお知らせする程度です。
私としては音の原理原則のようなものがある程度分かっていればいいので、とくに音楽理論を知っておくことに力点はおいていません。例えば、この曲の悲しくて切ない感じはこの音がこういう役目をしているからです、とか、ここで作曲者はこういう感じを出したいために、こういう音使いをしています、というようなことをその都度わかりやすくその曲の中でお伝えする程度です。
ですからサークルのみなさんはあまり理論にこだわることなくウクレレを楽しんでいます。もちろん理論のための理論はあまり必要ではないと考えますがいかがでしょうか?

第2章 ウクレレという楽器の特徴
これからなんとなくウクレレを始めようかなぁと思っておられる方やウクレレを始めて見たもののなんとなくもやもやしておられる方の頭の整理のためにもここでウクレレという楽器の特徴を整理してみました。
(1)ウクレレという楽器は「平等な」楽器です
ウクレレという楽器は不思議な楽器です。貯金が1億円あるからと言って、IQが130あるからといって、「私は**会社の専務だ」と言ってもウクレレを演奏するには何の関係もありません。年令、性別、学歴、宗教、国境、貯金額、社会的ステータスあらゆるものに対し「平等」です。
「天はウクレレの上にウクレレをつくらず」という言葉に近いことを昔におっしゃった偉人がいらっしゃいますがウクレレは本当に平等な楽器です。ピアノやバイオリンのように「お」をつけて「おピアノ」や「おバイオリン」という言い方は全くいたしません。第一、ウクレレに「お」をつけると言いにくくてしかたありません。「おウクレレ」なんて変ですよね。「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんと同じくらい言いにくいですよね。
もう一度、ウクレレは誰に対しても平等な楽器です。
(2)ウクレレは完成されていないおおらかな楽器
ピアノはその歴史と伝統に基づいて指導のための教本や演奏方法などすべての面で確立した楽器と言えますが、ウクレレの場合はまったくもって「ゆるっ」としています。市中でも様々なウクレレ教本があってそれぞれ微妙に書かれている内容が異なっていたり、「楽しく入門できますよ」とわかりやすく書いてあっても「後は自分で考えなさい」みたいな感じでいきなり放り出されて路頭に迷ってしまうというのがこのウクレレという楽器の特徴です。
このことが多くのウクレレ難民を作ってしまう原因となっています。皆さんの中にも「ウクレレ難民」はいらっしゃいませんか?
「ウクレレ難民」になってしまうのはウクレレという楽器が「ゆるっ」としたおおらかな楽器であるということが原因でもあるです。みなさんも「ウクレレ難民」にならないようにあまり突き詰めて考えないで「ゆるっ」とお考えになってはいかがでしょうか?
「ウクレレはこうやって演奏するのが正当で、それ以外は邪道だ!」なんて言ってないでおおらかに考えてみてはいかがですか。
ウクレレ完成されていないおおらかな楽器なのですから。

(3)ウクレレは場所をとりません
ウクレレのいいところはまず何と言っても場所をとらないということです。でもそのためにウクレレを半永久的に押し入れの隙間スペースにしまいこまれてしまっている原因にもなっているのですが…。
私は引っ越しの度に嫁に「ギターが邪魔、捨てたら!」と嫁さんによく言われましたが、ウクレレはかさばらないのでだいじょうぶです。
ちなみに最近嫁さんの古いピアノを「♪ピアノ売って頂戴~♪」という会社に引き取っていただきました。それにしてもピアノは本当に場所をとりますよね。ウクレレはその点収納スペースの少ないマンションにお住まいの方でも心配なく、日本の住宅事情にもぴったりです。
(4) 大きな音が出ない
また、ウクレレは大きな音が出ないというメリットがあります。(これは欠点でもあるのですが…)
トランペットのように主な練習場が「野球場の外野席」というわけにはいきません。トランペット何台かの音で球場を勇ましく支配できるようなことはウクレレにはできません。第一ウクレレなどで野球などの応援をしたら、そのあまりの「ゆるゆる」感で応援しているチームが負けることは必定です。
このように音の小さいウクレレは隣の人に気兼ねをして住まなくてはいけない都会暮らしの人にもぴったりの楽器ですね。
とはいっても練習時間には配慮しましょうね。
(5)生活の様々な場面で楽しめ、いろいろな所に連れていける
ウクレレのいい点の一つは、軽くて持ち運びが簡単であるということです。私は旅行に行くときもウクレレを持っていきます。
家族と旅行に行ったときには「何でウクレレなんか持ってきたの、部屋の外で弾きなさい!」と怒られて仕方なくホテルのベランダで弾いていたりしますが、その程度の迫害には慣れていますのでお気に入りの場所や時間を見つけていつでもどこでもウクレレを楽しむことができます。
また、ウクレレの友達同士でカラオケ店に集まってビールを飲みながら気楽にセッションをすることも可能です。
ですから皆様もウクレレをいろんなところに連れて行ってあげて下さいね。

(6) 手を伸ばせばそこにウクレレが…時間のない忙しい方々にもぴったりな楽器
私の知っているウクレレの友達がこう言いました。「私はウクレレが弾きたいと思いついた時にすぐにウクレレを手にとって弾けるよう、どの部屋にもそれぞれ1台ウクレレを置いている。」
その方は相当たくさんのウクレレをお持ちだったのでおそらくたくさん部屋のある大豪邸にお住まいだったのかもしれません。トイレにもウクレレを置いているとのことですからかなりの「ウクレレ中毒」状態ですね。
確かにトイレの中でウクレレを弾きますと壁の反射音ですごく演奏が上手に聞こえるのです。(笑)
また、風呂に入っているときはどうするの?と思わず聴きそうになりましたが、別のウクレレの友達から「お風呂で弾けるプラスチック製のウクレレがあるよ」と教えられました・・・。
そこまでしなくても、と思うのですが、上には上の方がいるものです。
このような強度の「ウクレレ中毒」の方々の例は極端にしても、ソファーの横に置いておいてテレビを見ながらCMの時や野球中継の相手方の攻撃のときなどにウクレレを手にとって手軽に練習するというのも「いとをかし」の世界です。
ただし、家族と一緒にテレビを見ているときにウクレレの練習をするとかなりの迫害を受けますのでご注意のほどを。
ウクレレの練習は特別の時間を必要としません。忙しい方にもピッタリの楽器です。

(7)コツコツ努力が報われる楽器
ウクレレのいい点は、入門した時にとりあえず音が鳴るということです。サックスのように音を鳴らすまでに一苦労ということはありません。また、ウクレレは不思議な楽器だと思うのですが、年齢に関わらず、楽しいと思ってコツコツ練習しているうちに自然と上達する楽器なのです。
ウクレレはコツコツタイプが報われる楽器です。
ですからコツコツ人生を歩んでこられたシニアの方が入門されて自然体で練習すると練習に応じて上達するのです。現在サークルではウクレレ歴2週間から10年の方までいらっしゃいますが、皆様がそれぞれその方のウクレレ歴に応じて技量を上達させていらっしゃいます。
あくまでも芸事ですので人によって上達の差は多少出ますが、ウクレレという楽器が極端にテクニックを追及する楽器ではありませんので、みんなで練習しているとその人なりの演奏ができるようになります。本当に不思議な楽器です。
(8)指の長さや大きさなどに左右されません。
ウクレレは弦を押さえてつま弾くという一つ一つの所作にあまり大きな指の力を必要といたしません。楽器の大きさが小さく、弦の張力もナイロンの弦ですのでそんなに強くありませんので手の大きさや指の長さなどで演奏力に差が出るといったことはありません。
ギターのように「F」という特定のコード(和音)が押さえられずに挫折するといったこともありませんのでご安心ください。
私は以前、ウクレレの神様と言われるオータサンと握手をさせていただいたことがあるのですが、オータサンの指はすべて私の親指より太くて相当骨太の手でいらっしゃいました。ですので、骨太の方でも小さなウクレレは弾けます。
また、楽器が小さいことでフレットの幅も小さく、指を大きく開くような難易度の高い演奏もそんなに必要ありません。女性や子供でも弾くことができる楽器です。
逆にギターをやっていた方はフレット幅が小さいので指が詰まったような感じをお受けになるかもしれませんが、しばらく練習していますと順応してまいります。

(9)テクニックを追及することにあまり必然がない楽器
ジェイクやオオタサンの演奏を聴いていますとそのあまりの超技巧に思わず息を飲んでしまいます。でも私たち市井のウクレレ愛好家はテクニックを追及して「どうだ!」とやってもあまり人に訴えることはありません。
テクニックのためのテクニックを習得するよりも自分なりの演奏をするため、自分の音楽を表現するために必要となる表現方法としてのテクニックをその都度習得するほうが楽しいですし、楽しいから上達もします。
「自分が自分であるように」演奏するウクレレをめざせばいいのではないでしょか。演奏の奏法やテクニックはその次の話かもしれません。
(10)あまり金銭負担はありません
ウクレレは会社勤めをされて間もない若いサラリーマンの方のお小遣いや年金生活の方が年金で貯めた貯金で購入できるのが良い点です。
私の存じ上げているウクレレのお友達は大学の奨学金でウクレレを購入されました。これは奨学金の主旨からして少し問題かもしれませんが、ウクレレはあまり経済的負担をかけずに楽器が調達できます。
最近はウクレレを製造するための材料の木が世界中でなかなか採れなくなり、高騰している等の理由で高価な値段のついたウクレレがあります。また、労働工賃の安い国で製造されたウクレレが販売されていて、どのウクレレが自分にとっていいのか選ぶ側は本当に迷ってしまいますね。
でも安心してください。日本には日本の木工細工の伝統や、すばらしい生産管理技術もありますので、2~3万くらいの国産のウクレレで充分一生楽しめるウクレレを手に入れることができます。
車をライフスタイルに合わせて様々乗り換えていくように、その方の「ウクレレライフスタイル」に合わせて必要に感じたら違ったウクレレを購入されることもあっていいと思います。要は人の価値観に惑わされることなく、ご自身のしっかりとしたお考えでウクレレという楽器と付き合ってあげて下さい。
ウクレレは大切なあなたの人生のパートナーですから。

(11)十人十色のサウンド
ウクレレが不思議なのは10人いたら10通りの弾き方と音色が出るのです。楽器には共通していることかもしれませんが、ほんとにその方のお人柄というものがウクレレの音に現れます。
ですから私のサークルでは一定の弾き方にこだわらず、その人なりの演奏方法を尊重することを大切にしています。金太郎アメのような型にはまった演奏よりも自由に自分を表現したほうが楽しいですし、一糸乱れぬ演奏コンクールの演奏よりも一人ひとりが自己主張して楽しそうに演奏している音楽のほうが聴くほうも楽しいと思うのですが、いかがでしょうか。
でも、不思議なもので、何度もみんなで練習をやっていると少しずつサウンドの一体感が生まれてくるのです。そうすると演奏者1人1人の脳内にアルファー波が放出されます。やがてみんなで弾くことがやめられなくなってきます。
ウクレレは「自分が自分であるように」弾けばいいのです。
(12)ウクレレは人と人とをつながることができる楽器。
音楽には人と人とを繋げる力があります。渡辺貞夫さんがサックスで世界中の人々と交流することができたり、AKB48の音楽が時代のムーブメントを作ったりします。また、中島みゆきさんの歌で自殺を思い止まったという方がいるという話も聞いたことがあります。
ウクレレで奏でるのは音楽です。ちっぽけな楽器ですがウクレレにはウクレレにしかない良さがあるからこそ、多くの人と人とをつなげることができるのです。私たちのサークルでは中学生から80歳の方までが同じお部屋で楽しく音楽を楽しんでいます。
またウクレレで地域の様々な交流イベントやデイケアでの演奏など、多くの人々との関わりが生まれています。
あなたがウクレレを始めようとされるとき、あなたのお友達となるのはSNSでつながったバーチャルな人のつながりではなく、楽器店でウクレレを始めようかなとウクレレをぼんやり眺めておられる血の通ったあなたと同じリアルな方々なのです。
「たたけよ、されば開かれん!」
あなたをたくさんの名曲とお友達が待っています。ウクレレを始めて一人ぼっちとはさよならしましょう。

第3章ウクレレをもっと楽しむために <上達の秘訣>
(1) ポジティブシンキング
ズバリ、皆さんにウクレレの上達の秘訣をお教えいたしましょう。それは「ポジティブシンキング」でいることです。
今、皆さんがウクレレの練習曲に取り組んでいるとしましょう。その時にその曲を「半分しか弾けないでいる」と思うか「半分も弾けた!」と思うかで大きな差が出ます。上達する人は必ず半分弾けることに喜びを持つ方です。なぜなら半分できたことで喜びを持てる方はウクレレの練習が楽しくなるからです。ウクレレの練習が楽しいと自然に上達します。楽しいと思うから練習するのです。楽しく練習できる人は必ず上達します。
楽しく練習できる人は必ず上達します。

(2) できないところをくよくよこだわらない。=完璧を目指さない
ウクレレ愛好家の中には一つの練習曲を自分なりに完成度が 上がるまで徹底的に練習してから次の曲の練習をされる方がいらっしゃいます。これも一つの考え方ですが、どうしてもできないところはできないもので、そのうち練習がおっくうになってきて練習量が落ちてきまして結局完成度が上がらないという状況になることがあります。(実は私がそうでした。)
学生時代のテストでもそうでしたが少し勉強をして30点を60点にするのは簡単ですが80点を100点にしようとしても何倍もの勉強をしなくてはなりませんよね。
私のサークルでは大体弾ける感じになりましたら「完成!すばらしい。」と言って次の曲にさっさと移ってしまいます。みなさんからは「えっ、完成と言っていいんですか?」と言われるのですが「いいんです!」と言って断固として次の曲に移ります。
すなわち50%の完成度の曲をたくさん作るのです。そうしているうちにしばらくして最初の曲に戻って練習をしたときに「あっ、私弾けるようになっている!」と上達を実感することができるのです。そういう状態になりますとウクレレが加速度的に上達します。 実はこの練習方法には訳があります。
ウクレレのソロ弾きの場合、一定の指の動かし方、すなわちパターンのようなものがあるのです。
メロディーを装飾する和音の音に一定のパターンがあるため、同じ押さえ方が随所に出てきます。したがってある曲のある部分でどうしても弾けないところがあったとしてもまた別の曲で類似のパターンが登場してきますので無意識のうちに繰り返し練習をしていることになるのです。
ですから、どんどん新しい曲を練習することで弾けなかった部分を違った形で知らないうちに繰り返し練習していることになります。
私のサークルでもウクレレを始めてしばらくされて別人のように上達される方がいらっしゃいますが、この「気付き」があるからです。
みなさんも学生時代の勉強で、どうしてもわからなかったところが全然違った問題や課題をこなしているうちに「そういうことか。」と突然理解できることがありましたでしょう。また、多少わからない英単語があっても全体を読んでいるうちに前後の関係で意味がわかったりすることもあったと思いますが、ウクレレもそういうところがありまして、あまり細部にこだわらず、また、弾けないところにこだわらず、自然体で楽しくやっているうちに上達するものだと思います。
どうぞ安心して練習して下さい。

(3) みんなと一緒に練習する
自分ひとりで練習していますと些細なことで疑問に陥ってしまい行き詰まることがどうしても多くなります。特にウクレレを始めてすぐの時は、跡から考えると「何でこんなことで悩んでいたのか」と思うことも多いと思います。
例えば、ウクレレをどのように持って、どんな姿勢で弾いたらいいか?というのは教本ではいろいろなことが書かれてあって、そのとおり自分に置きはめてもどうもしっくりこないということがあります。なぜなら、ウクレレの大きさも形も様々ですし、演奏する人の体型も様々です。自分なりに一番演奏しやすい形を見つけなくてはならないのですが、一人で練習しているとこれでいいのかと悩んでしまします。こういう時に周りに同じようなレベルで悩みを言い合える人がいると心強いですね。
いろいろなことを皆さんで共有しながら練習したほうが上達すると思います。
みんなと一緒に練習することによって、まわりの人の演奏を自分なりに置き換えて自分の上達の糧にすることができます。そうすることによってまた他の方があなたの演奏を糧にすることになります。そうするとさらに上達することができます。
また、まわりの人が同じようなことで悩んでいることを知り共有するだけでも練習の励みが変わってまいります。

(4) 弾けない自分を責めない
几帳面に生きてこられた方によくありがちなのですが、「完璧に弾ける自分」に目標を置くばかりにうまく弾けない度に「あーっだめだ!」とつい口に出してしまい、首をかしげながら練習をされる方がいらっしゃいます。みなさんもウクレレの練習でうまく弾けないからと言って自分で自分にダメだしされるような心当りはありませんか?
ゴルフで例えると常に自分の最高のナイスショットをイメージしすぎてそうでないショットが出た場合自分を責めてしまい、その人の実力の割にはコース戦略が悪くてスコアが伸びないといったことかもしれませんね。
あまり自分の目標を高く設定しすぎることはやめましょう。練習が楽しくなくなって挫折してしまう原因となってしまいます。
うまく弾けなくても「ウクレレ」うまく弾けても「ウクレレ」です。
(5) 人と比較しない
釣りをすれば人よりたくさん大物を釣りたい、ゴルフをすれば人よりいいスコアを出したいと思うのは人情です。だから人より上達したいと考えるのもありえることだとは思いますが「ウクレレを楽しむ達人」の場合、少し違った境地にいなくてなりません。
私は釣りが好きでクロダイ(関西ではチヌと呼びます。)を釣りに出かけるのですが、厄介なことにあまり私の腕では魚を釣ることができない魚なのです。
昔、私の釣りに行ったことのある福井県の渡船場の壁にこんな張り紙がしてありました。
大物チヌをたくさん釣る人は「達人道」
チヌが釣れなくても釣り場でのんびり寝ている人は「極楽道」
ここで主語を魚からウクレレに変えれば私たちウクレレ愛好家の目指すべき境地があるのではないでしょうか。人より上達するという規範でいるより「ウクレレ極楽道」を目指すほうがよっぽど楽しいと思います。
めざせ「ウクレレ極楽道」!

(6) ウクレレの練習は「いいとこどり」でいいんです
皆さんはウクレレを始められるときに、まずウクレレ教本をお買いになると思います。最近はネットなどで簡単に情報を収集することができます。
そこで自分が練習しようと思った曲を練習する場合、曲の始めから練習を始めるという方がほとんどだと思うのですが、実は必ず曲の始めから練習しなくてはならないことはないのです。
曲にはその曲のその曲たるゆえん、すなわち一番の聞かせどころの部分があります。皆さんもご自分の好きな曲でもその曲の特定の部分が特に気に入っているというようなことがあると思いますが、こういった部分から練習を始めてみるのもぜんぜんありの考え方です。
例えばハワイアンで有名な「アロハオエ」という曲であれば、サビの部分の「♪~アロハオエ♪~アロハオエ♪~」と歌われている部分を最初に練習するのです。そしてこの部分をしばらく練習してうまく弾けないとしたら、さっさとこの曲にこだわるのはやめて他の曲の練習に移りましょう。えっ?そんないい加減なことでいいのかって?いいんです。
ハワイアンがお好きな方は他にも素晴らしい曲を多くご存じです。自分が楽しんで弾ける曲を選んで練習すればいいのです。自分の弾けない曲は誰か他の達人に任せておきましょう。自分の弾きたい曲こそウクレレで弾いてみたいとこだわる方もおられますが、たとえ自分の好きな曲でも弾けないということのなるとウクレレが楽しくなくなってしまい、ウクレレを押し入れの隅っこに仕舞い込んでしまう原因になってしまいます。
ですから練習は「いいとこ取り」で楽しんでどんどん前に進めましょう。
たとえ半分しか弾けなかったとしても、「半分も弾けた!」と思ってどんどんと次の曲の練習に移るのです。
先にも記載しましたとお「「半分しか弾けない」と思う人よりも「半分弾けた!」と感じて練習する人のほうが、ウクレレが楽しくなって上達すると思います。「半分弾ける曲」をどんどん増やしましょう。
えっ?あとの半分はどうするかって?そういうときは自分の弾けないところを弾くことのできる友達と一緒に練習して弾けないところはその人に任せてしまいましょう。
こういう考え方を私たちのサークルでは「ウクレレ他力本願」といいます。古くは平安時代の仏教の考え方から由来する考え方です(??)。
ウクレレをうまく弾けない自分を責めてしまわれるまじめな方の心を軽くするにはぴったりの考え方です。
やっぱりいいかげん!と思うでしょう?実はこの考え方には奥深いものがあるのです。半分しか弾けない曲を弾ける人に交じって弾いているうちに、最初に戻ってその曲を弾いてみると「あれっ、弾けるようになっている!」と気付いて自分で感動することがあるのです。
ゆっくりとした坂道を少しずつ登っていくうちに高い山に登るという作戦です。そのためにはコツコツ歩みを止めないことです。急な崖を登って山を制覇しようとしても失敗して崖から落ちてウクレレ登山をやめてしまっては意味がありません。
そういう意味ではウクレレはコツコツタイプの人にぴったりの楽器なのです。
ちなみに私ごとですが、私はミニー・リパートンという歌手の「Loving You」という曲のサビ部分の「♪~ラララララ、ラララララ~♪」というところが大好きでその部分だけを弾いて楽しんでいます。
楽しんで弾くことが第一です。半分だけでも楽しいのです。
(7) どんどん人前で弾きましょう
皆さんの中で「人前で弾くなんてとんでもない」とおっしゃる方がたくさんいらっしゃると思いますが、私たちのサークルでは年2回ライブハウスを貸し切って人前で演奏するだけでなく、地域のお祭りイベントやデイケアでの演奏など積極的に人前で弾く機会を設けています。
人前で演奏すると緊張してしまい練習の成果が全くでないものです。また、人から見られていると感じると自分のウクレレ演奏の問題点がすべてあらわにされるように感じて固まってしまいます。
それでも人前で演奏するべきです。家で10時間練習するより人前で3分演奏する方が勉強になります。
そのうち聴衆から手拍子をもらったり、アンコールをもらったり、デイケアのお年寄りから「また来てね」などと言ってもらうようなことになると一挙に人前で演奏することが楽しくなります。
また、サークルメンバーと緊張を共有し成功や失敗体験を積み重ねながらメンバー同士の交流を図る楽しさも知ることができます。演奏会が終ってからの二次会は楽しいですよ。

(8) 積極的に社会参加しましょう
私達のサークルではウクレレ普及のための「ウクレレ体験イベント」や地域交流のイベント、デイケアでの社会参加活動などに積極的に参加しています。
自分たちのウクレレが誰かのためになるという実感を得ることで練習に対する身の入れ方が変わってきます。
また、デイケアでどう演奏したらお年寄りが喜んでもらえるかをみんなで考え、演奏した結果の反応が自分たちに帰ってくることで大きな自信(時には反省)が生まれます。
「自分のウクレレが誰かの役に立っているという気持ち」がその人の生活の張りとなって少し幸せになることができます。
